「氷点」三浦綾子(書評)

氷点(上) (角川文庫)

氷点(上) (角川文庫)

氷点(下) (角川文庫)

氷点(下) (角川文庫)

舞台は昭和30年代の旭川。病院を営む一見幸せな一家の3歳の娘が誘拐殺害される。夫は或る理由から生後間もない犯人の娘を引き取り、妻は何も知らされぬままに亡くした娘の生れ変りとして大切に育て始める。妻や長男も時期を違えて秘密を知るが、美しく優しく聡明な娘に育った彼女に対して三人が其々複雑な感情を抱き、其々が互いに衝突し…


娘にとっての敵味方が繰り返し入れ替わるのと、その中で娘が健気にも一番全うに生きていく様が眩しいのとで最後まで飽きさせない。エンタメと文芸のいいとこ取りをしたような、読後満足度の高い作品。