「それを愛とは呼ばず」桜木紫乃(書評)

それを愛とは呼ばず

それを愛とは呼ばず

    妻の経営する会社で実直にナンバー2を務めていた54歳の元ホテルマン。妻の交通事故を機に義理の息子に会社を追われ、古びたリゾートマンション販売員として北海道へ。そこに不幸な過去を背負う者が1人2人…

    老夫婦の仲睦まじい会話から始まるので、直木賞作品「ホテルローヤル」よろしくまた年寄りのセックス読まされるのかと思いきや妻は早々に意識不明に。その穴を埋めるように登場するアラサー美女が主人公に想いを寄せていくのだが、これがおじさん読者にはたまらない。

    ハッピーエンドとは言えない結末も、何故か読後感は爽やか。