「蓼喰う虫」谷崎潤一郎(書評)

 

蓼喰う虫 (新潮文庫)

蓼喰う虫 (新潮文庫)


    時代はおそらく大正。美しい妻を娶りながらも妙な拘りから愛することができない夫と、その寂しさから外に恋人を作りながらも罪の意識に苛まれる妻。二人して離婚を決意し、周囲に対し取り繕いながら「時代にあった別れ方」を進めていく。

    っていうか、互いへの思いやりだったり、僅かばかりの未練だったり、単なる優柔不断だったりが邪魔してなかなか進まず読み手をいい意味で焦らす。最後のシーンも「もう少しだけ続き見せてよ!」というところで切られたw

    当時の文化や風俗の描写も興味深い。