「きりひと賛歌」手塚治虫(書評)

 

    手塚治虫の社会派作品。

    顔や体がまるで犬のようになる奇病、モンモウ病。その研究成果を自身の出世に最大限利用とする教授と、論説に真っ向から反対したためにその発祥地に追いやられ自らも発病し犬の姿になってしまった若手医師桐人。それぞれに数奇な運命に翻弄されつつ(といっても桐人の方が数百倍過酷だが)最後の再会で…

白い巨塔」(山崎豊子)に伝奇的要素を足したような作品で、読み応えのあるコミック全二巻。作中に「白い巨塔をお読みの方は〜」みたいな一文もあり、意識して書いたことは想像に難くない。