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「影法師」百田尚樹(書評)

 

影法師 (講談社文庫)

影法師 (講談社文庫)

 

 

    江戸後期、北陸の小藩を舞台にした下級武士二人の物語。

    戦のない世が続く中、また幕府の厳しい締付けの中で武士という存在はコスト化。特に嫡男以外の男子は将来を悲観せざるをえない一方で、学問の重要性が増し優秀なら家柄に関係なく引立てられるというちっこい穴が空いているという時代背景が切ない。

    そんな中、相当の才覚を持った二人が互いへの友情や使命感から各々極限の選択をし、それぞれが起伏の激しいかつ対象的な人生を歩む。最後の主人公の慟哭が悲し過ぎるが、恐らくは現実的なベストシナリオだったのではとも思う。