「下流の宴」林真理子(書評)

 

下流の宴 (文春文庫)

下流の宴 (文春文庫)

 

 

「中流」の体裁を必死に守ろうとする母親と、それを冷めた目で見つめるフリーターの息子と、フリーターでありながら医者を目指すことで自らを認めさせようとするその婚約者。

    一流大学を出ていい会社に入って郊外に家を建てて…みたいな価値観の否定とドラゴン桜バリの大逆転受験劇の二つの要素がかなり強引にくっつけられた感があるが、それぞれ面白いので違和感なく読める。

    特に前者は、その母親をそういった価値観の象徴として徹底的にデフォルメすることでバカにしまくっていて、その嫌味加減が作者の本領発揮といったところか。