「王妃マリー・アントワネット」遠藤周作(書評)
フランス革命で死刑となった同国最後の王妃の半生を描きつつ、一方で「革命」の熱量とその後の統制の難しさを説く歴史小説。
我儘で浪費家というお馴染みのキャラに加え、無能な夫ルイ16世や子供達への深い愛情、若き将校との道ならぬ恋にもギリギリのところで踏みとどまる貞淑さなど意外な一面も。サド侯爵、ナポレオン、モーツァルト等同時代の人物を友情出演させたり、史実として伝わるエピソードを所々に交えたりといった小細工も上手い。
なぜ遠藤周作が?と思いつつ読み始めたが、途中でお得意の「神様不公平説」が出てきて納得。