「香港 中国と向き合う自由都市」倉田徹他(書評)

 

香港 中国と向き合う自由都市 (岩波新書)

香港 中国と向き合う自由都市 (岩波新書)

「植民地でありながら自由と経済発展を謳歌する香港」と「一国二制度下の香港」との間で何がどのように変わったのか、三者(中、英、住民)はそれぞれどんな思惑で動いたのか。

    英国と中国のつばぜり合いも其々がしたたかで十分に面白いのだが、それ以上に住民についての分析が興味深かった。元々本国からの難民であった彼らが対極にあるような英中の政府をどう見てきたかとか、今でこそデモを繰り返す彼らが元々は政治から距離を置いてきたこととか、それらとも絡めて彼らのアイデンティティーはどうだとか、マンゴープリンとか杏仁豆腐とか。