「塩狩峠」三浦綾子(書評)

塩狩峠 (新潮文庫)

塩狩峠 (新潮文庫)

    乗り合わせた電車が北海道の峠道で暴走し、自らの命を犠牲にして電車を止めることで多くの乗客を救ったキリスト教徒の青年の話。実話をもとにしたフィクション。

    複雑な家庭環境に生まれるも、それぞれの時期に深く関わった人から影響を受けながら、普通ならやり過ごすような些事に思い悩みながら(キリスト教への入信含め)主人公が成長していく様に妙に引き込まれ、上記のネタバレは最初の数分で忘れられる。

    ただ、彼の最後の選択はそのタイミングも含めてあまりにも哀しく、宗教というものの空恐ろしさを感じてしまった。