「自然のだまし絵 昆虫の擬態: 進化が生んだ驚異の姿」海野和男(書評)

外敵から身を隠すため、自然界の様々なものに身も心も?なりきった虫達の写真集。タイトルの「だまし絵」とはよく言ったもので、写真によってはどこにその虫がいるのかわからないものすらあった。


葉や枝はある程度想像していたものの(それでもそのディテールへの拘りやバリエーションの豊富さは想像以上)、新芽や花、挙げ句の果てには他の生物の糞にさえ化ける生への強い執着に驚くばかり。加えて、隠れるだけでなく敵を威嚇するための化けっぷりも見事。人面虫の完成度の高さはシーマンの比ではない。