「火花」又吉直樹(書評)

 

火花

火花

 
 

 超話題作につきあらすじ省略。

現代の東京(但し冒頭のシーンは熱海)を舞台に、しかも20代の若者を主人公に据えて純文学に仕上げたのは見事。「携帯電話」「漫画喫茶 」という平成生れの単語がなぜか赤茶けて感じられるほど全体的にノスタルジックで、わかりやすいストーリーよりもそんな文学っぽさに浸って楽しんだ。

 重要な登場人物「師匠」を勝手に大御所クラスと想像してたら「破天荒だが歳は主人公とさほど違わぬ若手」で肩透しを食った。それはそれとして、天才肌という設定にも関らず彼の台詞が大して面白くないのはどうかと思う。