「鳩の撃退法」佐藤正午(書評)

鳩の撃退法 上

鳩の撃退法 上

鳩の撃退法 下

鳩の撃退法 下

娘に下の名前で呼び捨てられる男と落ちぶれた直木賞作家の出会いから、ピーターパン、デリヘル、不倫、ヤクザ、偽札等が絡み合い、収拾つかないレベルで話が散らかっていく。


前半は頭こんがりながらもワクワクが勝ってなんとか読み進められるが、後半はばら撒かれた伏線を無理やり回収しようとしてグチャグチャ。また、現在と過去を行き来する書き方はもう珍しくないが、戻る先がバラバラなせいで読みにくさを増幅させている。


ちなみに「鳩」は贋札の隠語、糞害に悩まされているマンション住人に知恵と勇気を与えてくれる本ではなかった。