「孤高の人」新田次郎(書評)

 

孤高の人〈上〉 (新潮文庫)

孤高の人〈上〉 (新潮文庫)

 
孤高の人〈下〉 (新潮文庫)

孤高の人〈下〉 (新潮文庫)

 

 他を圧倒する実力と実績を有しながらも、極度のコミュ障故に登山関係者や同僚から変人扱いされ続けた登山家の物語。ほぼ実話(昭和初期)。

「孤高」といってもイチローとか中田英みたいなカッコ良さげな感じではなく、口ベタで意地っ張りで融通の利かない所謂「困った人」なのだが、その周囲との軋轢生みまくりぶりが半端なく、読み手を常にイライラヤキモキさせてくれる。そんなコミュ障全開の前半と、美人の伴侶を得て人格激変する後半のコントラストもユニーク。エンディングの人生最後となる登山のシーンは涙。