「起業家」藤田晋(書評)

起業家 (幻冬舎文庫)

起業家 (幻冬舎文庫)

    サイバーエージェント藤田社長の手記。 

    今でこそネット業界の勝ち組的な評価を得ている同社だが、決して順調にきたわけではなく、失敗や試行錯誤の繰り返しを経て何とかたどり着いたものであって、藤田氏も決して「イケテル」「カリスマ」と言われるような経営者ではなく、自身でもそこを十分にわきまえているようだ。  

    年齢も事業内容も近いホリエモンとはよく性格や経営手法を比較されてきたが、本書でもその交友関係やライブドア事件で彼が感じたこと等も触れられている。書中では「真逆」となっていたが、二人に共通するのは外部に有力な味方をたくさん有していること。

「人脈作り」なんていう構えたものでなく、知的好奇心が旺盛だったり、自分の足りない部分を隠そうとしなかったり、他人への評価基準を肩書きや年齢でなく人物そのものに置いていたりといったところからら自然と信頼の置けるネットワークみたいなものが出来上がり、それが彼らの大きな武器の一つとなっている気がする。