「噂の女」奥田英朗(書評)

噂の女 (新潮文庫)

噂の女 (新潮文庫)

    美人ではないが妙に男好きのする容姿を武器に、恵まれない出自から高級クラブのママにまで上り詰める主人公。ただその周りには常に黒い噂が付きまとい…

    ありがちなストーリーだが、「噂の女」はどの章でもサブキャラ扱いで彼女以外の人物を中心に描くというフォーマットが新鮮なのと、章ごとに場面と彼女以外の人物がガラッと入れ替わるのだがそれがまた変化に富んでいて、陳腐さを感じることは最後までなかった。

    加えて、所謂マイルドヤンキーの生態系とか地方が抱える問題が巧みに織込まれてるのだが、単なる背景描写か作者の問題意識か。