「アンティキテラ 古代ギリシアのコンピュータ」ジョー・マーチャント(書評)

アンティキテラ古代ギリシアのコンピュータ

アンティキテラ古代ギリシアのコンピュータ

20世紀初頭、古代ギリシアの沈没船から当時の技術水準からは到底作り得ない多数の歯車を複雑に組み合わせた機械が発見された。本書はその後1世紀にわたり入れ代わりその正体を追った者達の軌跡。


発見当初はほとんど見向きもされず、その後一部のマニア学者が興味を持ち始めるもその用途どころか年代や製造地の特定すらできない状況が続く(正確には「有力な説が出ては数年後にはそれが覆され」の繰り返し)。機械の正体はそれほど驚かされるものではなく、むしろそれを巡って繰り広げられた人間ドラマの方を楽しむべきノンフィクション。